印鑑の人気材質について

生活の中でなにかと必要になる印鑑。特に、実印は身分や財産を守る重要な役割も担っているため、購入するときにはできるだけこだわりたいという人もいます。印鑑作成の悩みのなかには、素材選びもあるでしょう。一見すると似ている素材でも、選び方によっては長持ちするかどうか分かれることもあります。
ここでは、印鑑の人気材質について解説します。材質を知ることで、なぜ人気があるのかが理解できるでしょう。
薩摩本柘
鹿児島県産の原木から作られた薩摩本柘は、柘のなかでも高級で、その上品で滑らかな美しさから人気を集めています。その特徴は、美しい木目と繊維の緻密さです。普通の柘よりも耐久性に優れているので、長期的に愛用することが可能ですし、硬い材質なので文字を彫るのにも適しています。
使えば使うほど、次第にその色に深みを増していきます。ですが、長期的に使用するには、日頃のメンテナンスも大切です。油脂を含んだ朱肉は放っておくと内部まで染み込んでしまい、印面の劣化にも繋がってしまいます。
朱肉を使用したときには、すぐに拭き取るようにして、こまめに手入れをするようにしましょう。ですが、このときに綺麗に落とそうと思って、水やウエットティッシュを使用することは避けましょう。薩摩本柘は湿気に弱いため、濡らしてしまうとそこから次第に劣化していきます。
更に、直射日光や気温の急激な変化にも弱いため、保管場所には最善の注意を払うようにしましょう。
象牙
やや黄色みを帯びた乳白色の象牙は、印鑑材質として高い人気を誇っています。上品で、清楚な印象があり、落ち着いた雰囲気から実印として使う人も多いでしょう。その魅力は、外見の印象だけではありません。綺麗な印影が押せるところが人気の秘密です。
朱肉がムラになることがなく、濃くはっきりとした印影が押せます。更に、高い耐久性があるのも魅力の1つです。印鑑は、長期的に利用すればするほど、印面が消耗して、やがて劣化してしまう可能性があります。象牙の印鑑は、水を使っての手入れも可能ですが、手入れの後にはよく乾かすことが大切です。
また、あまりにもしつこい汚れがあるときには、歯磨き粉を使用すると綺麗にとれます。そして、いくら耐久性がある象牙でも、硬いものに当たった場合は欠けてしまう可能性があるため、取り扱いには十分に注意しましょう。
黒水牛
1本の角から少ししか採れない黒水牛も、人気が高い印鑑材質です。朱肉が馴染みやすく、捺印したときにも綺麗な印影が残せます。
黒く光沢があるボディは高級感を感じさせ、威厳を表すことができます。また、耐久性も高いため、丈夫で長持ちします。ですが、黒水牛の角はタンパク質で作られ、湿気や直射日光に弱い傾向があります。湿度の変化が激しかったり、直射日光に晒され続けると、劣化してヒビ割れてしまう可能性があります。
使用した後は、必ず手入れをして、湿度の変化がほとんどない場所に保管しておくようにします。
チタン
捺印性と耐久性が高く、更にアレルギー体質にも最適な材質を探している人におすすめなのがチタンです。チタンは、金属でありながら、ノンアレルギー物質なので金属アレルギーがある人も、安心して使用することができます。
更に、印鑑の機能性の面から見ても、チタンは最適な材質です。粒子そのものが細かく、朱肉が印面にムラなく付着するため、捺印したときに綺麗な印影が可能です。そして、かなり硬度が高いため長期的に使用しても欠ける心配はありませんし、錆びにも強いので劣化の心配もありません。
そして、手入れが簡単なのもチタンの人気が高い理由の1つです。朱肉が付着したぐらいなら、ティッシュですぐに拭き取れば、綺麗に落とすことができますし、水やお湯で洗うことも可能です。そして、汚れが落ちにくいというときには、中性洗剤や歯磨き粉を使って落とすことができます。
ですが、取り扱いには注意が必要なときもあります。それは、いくらチタンが頑丈でも、落としたり強い衝撃が加われば破損してしまう可能性があります。取り扱うときには、十分に注意しましょう。
白檀
上品な香りが特徴的な白檀も、人気が高い印鑑材質です。香木として知られ、その独特な香りに魅了されるという人もたくさんいます。木材の印鑑を使用したいと考えている人の悩みの中に、虫食いがあります。うっかり印鑑ケースに入れるのを忘れて放置してしまった場合、虫食いによって破損してしまう可能性が考えられます。
ですが、白檀には防虫効果があるため、虫食いを心配することはありません。捺印性も高く、軽い力で押しても、しっかりと印影が残せます。白檀の印鑑を使用した後は、しっかりと朱肉を拭き取ることを忘れないようにしましょう。
朱肉が内部にまで浸透すると、ヒビ割れの原因にもなってしまいます。そして、白檀の香りは長く愛用していくうちに、次第に薄れていく可能性もあります。少しでも長く香りを楽しみたいというときには、直射日光に当てないようにして、こまめに印鑑ケースにしまうようにしましょう。
琥珀
宝石のように美しい琥珀も、印鑑の人気材質です。その理由は、見た目の美しさと温かみを感じさせる感触です。手にしっかりと馴染みやすいため、捺印のときに指がブレることなく、綺麗に印影が残せます。琥珀は、一見すると鉱石のように見えるかもしれませんが、その正体は樹脂です。
樹脂が化石になるときに、周囲の動植物が混入して模様ができるのです。そのため、同じ模様ができることはありません。自分だけの特別な1本が欲しいという人にはピッタリの材質です。琥珀は、長く使えば使うほど光沢が出る材質ですが、そのためにはこまめな手入れが必要です。
柔らかな布で朱肉を拭き取り、直射日光には当てないように保管しておきましょう。また、琥珀はとても傷つきやすいため、汚れがひどくても、歯ブラシなどでは擦らず、お湯や水で優しく洗うようにしましょう。
印鑑材質で悩んだときには
印鑑材質で悩んだときには、人気のある材質から自分に合ったものを選ぶようにするといいでしょう。
印鑑材質には、木材や金属、更には樹脂など、その種類は様々です。耐久性や捺印性など材質の特徴の違いや、手入れ方法などについて事前に詳しく調べておくようにすることで、長く愛用できる印鑑が見つかる可能性があります。
参考...印鑑